本業務は、新庄河川事務所管内の砂防・地すべり事業の実施に向けて、猛禽類の生息・繁殖状況を調査し、工事の影響予測や必要な保全措置の検討を実施したものです。 砂防・地すべり事業は人命に直結するため緊急性が高い上、管内は多雪地帯で工事期間が非積雪期に限られるため、スピーディな工事実施が求められます。一方、クマタカ、サシバ等の希少猛禽類が工事個所近傍で繁殖する場合があり、その際には繁殖に対する工事影響の回避・低減に向けた配慮が必要となることがあります。 配慮を行う上では、猛禽類の営巣場所や繁殖状況の迅速かつ正確な把握が重要ですが、本業務では調査経験を活かした営巣場所特定に繋がる行動に着目した調査、ビデオ撮影や鳴き声録音による繁殖状況の把握等を行いました。その結果、迅速に必要な配慮が検討でき、施工への影響を最小化することができました。 また、過去20年以上の調査で蓄積されたデータを解析した結果、営巣場所選択に影響を与えうる『巣と工事箇所との位置関係の明確化』や、『気象データからサシバの産卵日等の予測』ができ、今後の配慮を行う際の有益な情報を得ることができました。 このような「繁殖への配慮」と「スピーディな工事実施」との間のトレードオフ解決に向けた取り組みが、発注者から高い評価を頂いたポイントと考えています。